かがみ「……何、これ」
かがみ「注射器……ライター、スプーン、それに……この袋に入ってるのって」
かがみ「…………うそでしょ?」
058 名前:
…プルルルル…プルルルル…
みゆき『はい、高良です』
かがみ「み、みゆきっ…グスッ…ウッ…たすけてっ」
みゆき『かがみさん!?どうされたんですか?落ち着いて状況を説明してください!』
かがみ「つかさの…部屋から…グスッ…注射器がっ」
みゆき『つかささんの部屋を調べてしまったのですか!?あれほど止めたのに……』
みゆき『私が詮索を止めた理由にはつかささんを刺激しない為もありましたが』
みゆき『一番の理由は、かがみさんがパニックに陥る事を防ぐ為だったのですよ』
かがみ「グスッ…そんなこといっても…私っ…こうするしかっ…」
みゆき『やはりモノが出てきましたか……しかたありませんね…………かがみさん、よく聞いてください』
072 名前:
みゆき『つかささんでしたら私の目線の少し先に立ってます……といいますか、正確には私が尾行している形になるのですが』
かがみ「どういうこと?」
みゆき『先ほど歯医者の帰りに偶々つかささんを見かけまして…失礼ですがそれからずっと後を付けさせてもらっています』
みゆき『普段のつかささんがこのような時間帯に一人で出歩くなんて事はまず有り得ませんから……嫌な予感がしまして』
かがみ「つかさは今どこにいるの!?私はどうすれば?」
みゆき『現在つかささんは東武伊勢崎線で浅草方面へ向かっています、私も同じ車両に乗り込んでいます』
みゆき『ですからあまり大きな声では話せませんが、かがみさんも可能であれば今すぐこちらへ向かう準備をしてください』
みゆき『位置については随時連絡します、万が一に備えてすぐに警察に連絡できる心構えもしておいてください』
かがみ「浅草方面ね、わかったわ、…グスッ……私もすぐに向かうっ!」
083 名前:
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
つかさ「あっ!あきちゃん!こっちこっちー」
あきら「悪い、遅くなった」
つかさ「気にしないで、ここのカフェでココア飲んでたから全然平気だよ~」
つかさ「一緒に行こう~」
あきら「あんた痩せた?」
つかさ「そ、そうかなぁ? 気のせいだと思うよ~」
086 名前:
つかさ「えへへ~」
つかさ「あきちゃんと遊ぶの楽しみだなぁ」
あきら「……」
つかさ「つい最近あったばかりなのに、なんだか久しぶりな気がするよ~」
あきら「……」
つかさ「……あきちゃん?」
あきら「……」
つかさ「どうしたのあきちゃん?さっきから静かだけど……」
あきら「………………あんたさ、知り合いにツリ目のツインテールとかいる?」
つかさ「……えっ(……それって)」
あきら「あんたつけられてるよ」
099 名前:
つかさ「うそっ!?お姉ちゃ…」
あきら「振り返るな……気づいてない振りして歩きな」
つかさ「……うん」
つかさ「(……どうしてお姉ちゃんが)」
あきら「……」
あきら「……ここを少し進んだら左手に古い居酒屋がある、そこのトイレに入って鍵をかけな」
あきら「中に子供一人通り抜けれるほどの換気窓が備え付けられてあるから……そこを抜けて別の路地へ出られる」
つかさ「あきちゃんは?あきちゃんはどうするの?」
あきら「あたしは別の通りから先に向かってる……つけられてるのはあんただからね」
あきら「ほらそこの居酒屋だよ、早く入んな」
つかさ「わかった、あきちゃんも気をつけてね!」
あきら「撒いたと思ったら連絡して、それ聞いて安全だと判断したらこっちからナビするから」
つかさ「ありがとう!」タタタタ……
111 名前:
あきちゃんに言われたとおり、私は居酒屋のトイレから抜けて裏の路地をひたすら走りました。
途中何度も何度も振り返りながらお姉ちゃんがつけて来ていないか確認して
ようやく私はあきちゃんと合流をはたしました。
お姉ちゃんはいつから私の事をつけていたんだろう?
どこまで私の事をうたがってるんだろう?
今朝からずっと何気ない顔で接してきたお姉ちゃん……あの顔はウソだったんだね。
気づいていない振りをして……心の中では私の事をうたがっていたんだ。
だんだん、お姉ちゃんの事が信じられなくなってきたよ。
そんなことを考えていると気づけば目的地でした。
120 名前:
ズンズンズンズンズンズン
ズンズンズンズンズンズン
つかさ「……ここがクラブって言うんだ…………す、すごいところだね」ゴク…
つかさ「(……音が大きすぎて耳が痛いよ~)」
あきら「まぁ、六本木の中じゃ大きな方ね」
つかさ「私、こういうとこ初めてだからなんだか緊張するよ、、」
あきら「だろーね、見た目ですぐわかるよ」
つかさ「えー、ひっどーい!」
126 名前:
若者A「お!あれ、あきらちゃんじゃね?」
若者B「うお、マジだ!おーぃ!あきらちゃーん!」
あきら「(はぁ……)」
あきら「つかさ、ちょっとここで待ってな」
つかさ「う、うん(…あきちゃんのお友達かな?)」
あきら「おっはらっき~☆ ふたりともおひさしぶりぃ~!あきらさみしかったよぅ><」
つかさ「……」
137 名前:
若者A「俺達の方が寂しかったよ~、最近あきらちゃん顔見せてくれねーんだもーん」
若者B「どうするあきらちゃん、結構ユキネタそろってるぜ? エス?バツ?コーク?」
あきら「えぇ~、あきらエスとかコークとか怖いのキライ~><」
あきら「あきら草食動物だからぁ~ハッパとかがいいなぁ~☆」
若者A「おっけおっけ!ハッパならうちで育てたのあるよ!ほら!」
若者B「あ、おいテメェ!抜け駆けしてんじゃねーよ!」
あきら「わ~い!ありがとう~>< 若者Aくん大好きだよ~☆」
あきら「じゃあ、あきら友達待たせてるから~、ばいにぃ~☆」
若者A「お、おう、ばいに~!」
若者B「あきらちゃん、紙とキノコもあるからまたいつでも呼んでくれよーっ」
153 名前:
つかさ「あきちゃんモテモテだね……」
あきら「まぁね、あいつらここの常連、ああやってネタ貢いでくれるからたまに声かけてるの」
つかさ「そうなんだ、、……いつもあんなノリなの?」
あきら「あたし昔アイドルやってたからね、染み付いてんのよ」
つかさ「ええっ、そうだったんだ!……すごい、テレビとにも出てたの??」
あきら「あたりまえじゃん、深夜枠だけど、自分のラジオ番組とかも持ってたよ」
つかさ「そうだったんだ……今はもうやってないの?」
あきら「何年も前に事務所ブッチしてやめt」
あきら「!?」
つかさ「……どうしたのあきちゃん?急に固まって…」
つかさ「あっ!?」
あきら「…………なんでこいつがここにいんのよ」
162 名前:
小野「やあやあやあやあ、こんばんはつかさちゃん」
小野「と、その隣にいるのは、小神あきらさん、かな?」
つかさ「えっ!?あきちゃんとだいちゃんって知り合いなの??」
つかさ「(っていうかだいちゃん今日仕事でこれないって…)」
あきら「…………」
183 名前:
あきら「……つかさ、よく聞きな」
あきら「この通路をまっすぐ行った右の角にVIPルームがある、中にあたしの仲間が2人いるから先に入ってて」
あきら「仲間にはあんたの事一度話してあるから…入ったら白い特攻服の女に話しかけな、相手してくれるわよ」
つかさ「えっ、あきちゃんはどうするの? ……だいちゃんも」
小野「すまないつかさちゃん、僕は少しあきらさんと大人の話をするから先に行っててもらえるかな?」
小野「僕たちも後で入るから」
つかさ「う、うん、わかった ……ふたりともすぐにきてね」
あきら「ほら、さっきのハッパもっていきな、あいつらに渡すと喜ぶから」
つかさ「ありがとう!じゃあ行ってくるねっ」トタタタ…
198 名前:
つかさ「(ここがVIPルームかぁ…………なんかお線香みたいなにおいがする……)」
そこは10畳ほどの広さの、ちょうどカラオケBOXを少し広くしたような部屋でした。
天井には大きなスピーカーのようなものがぶら下がっていて電子音をゴムみたいに引き伸ばしたような音楽を奏でていました。
真っ黒で高そうな革張りのソファーが壁沿いにズッと並んでいて、その上に眠たそうな目をした若い男女が座ったり寝転がったり
お酒を飲んだり、水タバコを嗜んでいたり、おのおの自由にくつろいでいました。
その中でひときわ目立っていたのが一番奥の席に腰をすえていた白い特攻服の長身の女性。
間違いない、あの人があきちゃんの言っていた人だ。
つかさ「あのぅ……」
女の人「あァ?」
つかさ「ひっ……、あの、私、柊つかさといいます……あきちゃんの友達の、、」
男の人「あぁ!君がつかさちゃんか! あきらから話は聞いてるよ」
女の人「ああ、あきらが言ってた子ね……『トロくて頭悪そうなオカッパ』だっけ?」
つかさ「ええっ!……酷い、、(オカッパ??)」
211 名前:
男の人「とりあえずうちらの紹介もしないとな」
男の人「俺の名前は杉田だ、よろしく、 それと、このおっかない姉ぇさんが後藤……ゴットゥーザって呼んでやって」
つかさ「……杉田さん、ゴットゥーザさん、始めまして…よろしくお願いします」
つかさ「ええっと……このマリファナ、あきちゃんからの差し入れです、よかったら」
杉田「おおすげぇ!これなかなかのユキネタだぞ、見ろよこのキラキラの樹脂!つかさちゃんなかなかいい子だな」
つかさ「あ、あのぅ……それ、あきちゃんが手に入れたものだから、お礼ならあきちゃんに」
杉田「さっそく試して見るか、つかさちゃんもどうだ?一本」
つかさ「ごめんなさい、私ケムリが出るのはちょっと……」
ゴットゥーザ「ポンプやるのにクサが無理とかめずらしいわね」
杉田「そっか、つかさちゃんはシャブ専門らしいもんな……じゃあコークとか好きなんじゃないか?」
つかさ「コーク?」
234 名前:
作中での小野は彼をイメージしてます。
http://up2.viploader.net/pic/src/viploader835396.png
ちなみにゴットゥーザ
http://up2.viploader.net/pic/src/viploader835403.jpg
239 名前:
杉田「コカインの事だよ、シャブと同じアッパー系なんだ、試して見る?」
ゴットゥーザ「あんた……この子にハードなの勧めたらダメだって、あきらから言われてたでしょうが」
杉田「シャブをポンプで打つよりは全然ソフトっしょ? それにシャブなんかよりずっと楽しいぜ?」
ゴットゥーザ「あんたシャブやったことないくせに……」
つかさ「……やってみます」
杉田「お!」
つかさ「シャブに……似てるんですよね? どんな風になっちゃうのか気になるので……試して見たいです」
杉田「よしきた!まってなすぐに用意してやるから!」カチャカチャ…
ゴットゥーザ「ちょっと、大丈夫なの?」
つかさ「……だいじょうぶです」
つかさ「(私はこなちゃんとは違うんだ、逃げたりなんかしないんだ)」
253 名前:
希望がありましたらまだ続けようと思いますが、その場合はパー速へ移ることも考えています。
皆さんの希望に任せます。
279 名前:
297 名前:
杉田「よし出来た!この白い粉を鼻からスッと吸い込むんだ、お札をこうやって丸めて鼻に差し込むと吸い易いよ」
つかさ「やってみます」
杉田「よっしゃ!いったれ!」
つかさ「スッ……ズズズ………」
つかさ「うえっ!?げほっ!けほっ!…けほっ!…………ぅぅっ、何これぇ…鼻が痛いよ、、」
杉田「ははは、最初はそんなもんだって、すぐに効いてハイになってくるよ」
ゴットゥーザ「あんたはやんないのかよ」
杉田「いやあ、自分でやるより人がキマッてるの見る方が楽しいって言うかね?…………それにほら、俺ハッパ派だから、サーセンw」
つかさ「あ…あ…あぁ…………」ゾクゾクゾク…
310 名前:
杉田さんに教えてもらったコークのハイはシャブのそれとはまったく違っていました。
シャブのようなキレはなかったけどその全身を包み込むような多幸感はまさにこの世のモノとは思えませんでした。
神仏級の力を手にしたかのような……まさにそんな感じでした。
つかさ「むぎぃぃぃぃいいいいいいいい!!!!ふひぃいいいい!!!!」
つかさ「話しがっ!話しがっ違うよっ!このトビっ!!こんなのシャブのトビとはぜんぜん違うよおおおあああ!!!」
杉田「でも良いでしょ?」
つかさ「すっごい、良いっ! 良すぎいいいいぃぃぃぃぃぃいいいいいいいい!!!」
杉田「あははは、ウケルw」
ゴットゥーザ「……」
323 名前:
ゴットゥーザ「そう言えばあきらどうしてるのよ?一緒に来たんじゃないの?」
つかさ「あきちゃんは表でお友達とお話ししてるよ~」
杉田「へぇ、あきらって俺ら以外に友達いたんだ?」
ゴットゥーザ「ファンは多いみたいね、まぁ、いつも適当に相手してほったらかしてるみたいだけど」
杉田「一昔前なら俺たちより例の3人組とつるむ事の方が多かったんだけどな~、あきらの奴」
つかさ「へぇ、あきちゃんって知り合いたくさんいるんだね!その3人組みは今日遊びに来てないの~?」
ゴットゥーザ「もういないよ」
つかさ「えっ?」
杉田「死んだ、殺されたよ……3人とも」
330 名前:
つかさ「…………どうして」
杉田「あいつさ、その仲間3人組と共謀してヤクザの事務所から金とシャブを強奪したんだよ……もう何年も前の話だけど」
つかさ「!?」
ゴットゥーザ「ちょっとあんた!何話してんのよ!」
杉田「いいじゃねーか、ここらの連中はみんな知ってるよ」
つかさ「……どうしてそんなこと」
杉田「あいつが昔アイドルやってたのは知ってるだろ?その事務所ってのがどうやらヤクザつながりでさ」
杉田「事務所の連中、ギャラをピンハネして散々あきらの事働かせた挙句、売れなくなったらAVに移行させたんだよ」
つかさ「……AVって、まさか」
杉田「アダルトビデオだよ、今度見せてやろーか? 俺DVD持ってるぜw」
ゴットゥーザ「杉田っ!」
杉田「ジョ、ジョークだって、、」
杉田「でな、その次が…………シャブだ」
339 名前:
つかさ「(……えっ)」ドクン
杉田「例の事務所、タレントが不眠不休で働けるように仕事で弱った娘にはシャブを入れてたんだよ」
杉田「それもバレない様に、初めのうちは差し入れのブラックコーヒーに混ぜたりね」
杉田「もちろんあきらも例外じゃなかった」
杉田「つかさちゃんも知ってるだろ? シャブが入ったら疲れなんて吹っ飛んでそれこそ不眠不休で動けるって」
杉田「当時のあきらのスケジュール帳見てドン引きしたぜ、一昔前のアイドルでもありえない仕事量だったからな」
つかさ「……」
つかさ「……それで、どうしてあきちゃんは事務所を襲おうとしたの?」
344 名前:
杉田「あいつの両親、組に借金してたんだよ、それも組からの一方的なやり方でな」
杉田「あきらがそこの事務所に入ったのもそのため、子供なりに考えて自分の稼ぎで少しでも親の借金を賄おうとしたんだ」
杉田「期日までに埋め合わせできないと両親を埋めるってマネージャーからも脅されてたからなw」
つかさ「……あきちゃんの、お父さんとお母さんは………助かったの?」
杉田「間に合わなかった、……殺されたよ、ダムの一部にされたらしい」
杉田「あいつが事務所潰しに出た一番のきっかけはこれだな」
つかさ「………………そんな」
ゴットゥーザ「あいつらは最初から約束なんて守る気なかったのよ」
杉田「それでブチ切れちまったあきらは初め単身で事務所に乗り込む気だったらしいが」
杉田「その時クラスメイトだった仲良し3人組がどうしても協力したいって言い寄ってきたらしくてな」
杉田「人望の厚いあきららしい話しだよな」
353 名前:
ゴットゥーザ「結局現金とシャブの強奪には成功、実質事務所に報復することはできたんだけど」
ゴットゥーザ「あきら以外の3人は組員に居場所を嗅ぎ付けられ、それぞれ別の場所で惨殺……」
杉田「見せしめって事で、3人の死体はバラバラにされて敢えて街の目立つところに晒されたんだ」
杉田「それからだな……あいつがあまり人と関わらないようになったのは」
つかさ「(…………そんな)」
つかさ「(…………私、全然知らなかった)」
363 名前:
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あきら「スパー…」
あきら「相変わらずお店のほうは繁盛してるの?」
小野「ええ、お陰様で」
あきら「昔とやり口は変わらないんでしょうね、どうせ、未だに怯える娘の口に飴玉を入れてるんでしょ?」
小野「基本的には昔からやり方は変わってませんね、以前に比べて少々好奇心旺盛な子が増えましたが」
小野「僕があきらさんのマネージャーだった頃が懐かしいですねぇ、あの頃のあなたはまだウブで可愛かったっけ……」
あきら「……」
あきら「つかさもあんたのとこから引いてるわけね」
小野「つかさちゃんはいいお客さんですよ、いつもご贔屓にして貰ってます」
あきら「……だと思ったわ」
371 名前:
あきら「ところでどういう風の吹き回し? 六本木はあんたのシマじゃなかったはずだけど?」
小野「よくご存知ですね、そうなんですよ、おかげでこの街の情報がこっちに全然入ってこなくって……困っていたんです」
小野「別の組の人間もうろうろしてますし……正直怖くて怖くて、早くここから出たいくらいですよ」
あきら「つかさから聞いたの?」
小野「つかさちゃんを責めないであげてください、彼女は何も知らなかっただけなんです」
あきら「……チッ」
あきら「……あたしをどうする気?」
あきら「消しに来たんでしょ?」
377 名前:
小野「そうですねぇ、ボスからは『連れて帰れ』と言われてます」
小野「でもそこから先は僕の管轄外なんですよ、あくまで僕はただの売人ですから」
あきら「……」
小野「あきらさん、僕の下につきませんか?」
小野「僕は能力のある人間を消すのは正直馬鹿げてると思うんです」
小野「あなたの持っている知識と情報は組にとって大きな武器となる、消してしまうにはあまりに惜しい」
小野「一緒に行きましょう、ボスには僕の方から話して見ます、……大丈夫ですよ、ボスは法も警察も怖くない場所にいるんです」
あきら「……」
あきら「警察にパクられる気なんてサラサラ無いけど、あんたらの仲間になる方がよっぽどゴメンだわ」
あきら「いっそ今ここであたしの頭を撃ち抜いたら? チャカ持ってるんでしょ?」
小野「…………まいったなぁ」
バタン!!!!!!!
警察「警察だ!!!!音をとめろ!!!!!」
388 名前:
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
つかさ「…………」
杉田「暗い顔するなよ、もう過ぎた話しだ」
つかさ「…………」
ゴットゥーザ「話し戻るけど、あんたもシャブやってるんでしょ?」
ゴットゥーザ「悪いこと言わないから今のうちに止めときな……手遅れになる前にさ」
杉田「あきらの奴、いつもハッパくわえてるだろ? あれ、シャブ欲しくなる欲求を抑えるためなんだよ」
杉田「アイドル時代に散々やらされてたからな……ああでもしないと未だに身体がシャブを求めるんだと」
杉田「だからつかさちゃんも…」
バタン!!!!
若者「おい!ポリが来たぞ!!お前らもはやく逃げろ!!!!」
398 名前:
バタバタバタバタ
バタバタバタバタ
杉田「おいおいマジかよ!」
つかさ「えっ……警察?」
ゴットゥーザ「はやく逃げるよっ!」
杉田「やべぇぞ!つかさちゃんも早く!こっちの出口だ!!」
つかさ「で、でもっ、あきちゃんとだいちゃんが!!」
ゴットゥーザ「あきらはこの程度で捕まる奴じゃないわよ!」
杉田「取り合えず出るぞ!!こんなとこでパクられたらマジなんにもなんねぇ!」
405 名前:
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
警察「逃げるな!!!貴様ら!!!!」
警察「全員じっとしてろ!!!!」
バタバタバタバタバタ
ワァーーワァーー
バタバタバタバタバタ
キャーーキャーー
小野「逃げなくていいんですか?あきらさん」
あきら「あんたこそ……ずいぶん余裕ぶっこいてるけど…………パクられたら数年じゃ済まないわよ?」
小野「ですよね、はぁー…」
小野「ホントはこういう仕事好きじゃないんですよ、僕 ……いつもこんな感じで危険と隣り合わせだし」
小野「番組製作なんかでのんびりとシノギがしたかったなぁ……正直なところ」
あきら「あんたらが大原達にした事……あたし忘れてないからね」
414 名前:
小野「ああ、あの3人組の事ですか……恨まれている方が気が楽ですよ」
小野「そういえば井の頭線の車輪に挟まれた大原さんの首、発見されるまで渋谷と吉祥寺間を48往復したそうですね」
あきら「……チッ」
あきら「……悪いけどこれ以上あんたと話す気はないわ」
小野「僕もそろそろ、いったん身を引きます」
小野「今日の話…………ゆっくり考えておいてくださいね」
ワァーーワァーー
キャーーキャーー
419 名前:
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私はクラブの階段を抜けてからも必死で走りつづけました。
さっきキメたコークが抜けてきたせいか…………妙に苛立ちと不安が襲う。
それに身体もだるくて重くて……まるで水の入った長靴を履いてるみたい。
……人ごみにもまれているうちに杉田さんたちともはぐれちゃったし
……それからあきちゃんとだいちゃん……ふたりとも無事逃げ切れたのかな?
やっぱり私は踏み込んではいけない世界へ来てしまったのでしょうか?
こなちゃんの言うように、自分の身のたけ以上の世界を知ってしまったのでしょうか?
私もいつか……警察に捕まって
そして、何年も何年も暗い牢屋の中へ閉じ込められて……旅行も海水浴も恋愛も結婚もできないまま死んじゃうのでしょうか?
いやだ…………そんなの絶対いやだ…………逃げなきゃ…………早く逃げなきゃ…………
そんなことばかり考えながら無我夢中で走っていると……突然誰かが私の腕をつかみました。
425 名前:
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私はクラブの階段を抜けてからも必死で走りつづけました。
さっきキメたコークが抜けてきたせいか…………妙に苛立ちと不安が襲う。
それに身体もだるくて重くて……まるで水の入った長靴を履いてるみたい。
……人ごみにもまれているうちに杉田さんたちともはぐれちゃったし
……それからあきちゃんとだいちゃん……ふたりとも無事逃げ切れたのかな?
やっぱり私は踏み込んではいけない世界へ来てしまったのでしょうか?
こなちゃんの言うように、自分の身のたけ以上の世界を知ってしまったのでしょうか?
私もいつか……警察に捕まって
そして、何年も何年も暗い牢屋の中へ閉じ込められて……旅行も海水浴も恋愛も結婚もできないまま死んじゃうのでしょうか?
いやだ…………そんなの絶対いやだ…………逃げなきゃ…………早く逃げなきゃ…………
そんなことばかり考えながら無我夢中で走っていると……突然誰かが私の腕をつかみました。
430 名前:
432 名前:
ガシッ!
つかさ「いやああああ!!!!」
かがみ「つかさっ!」
つかさ「いやああああ助けてぇ!はなしてぇ!!!」
かがみ「つかさ、落ち着いてっ!私よ!かがみよ!」
つかさ「はぁはぁはぁ………………お、お姉ちゃん?」
みゆき「つかささん、どこか怪我は無いですか?危ない目に遭いませんでしたか?」
つかさ「…………ゆきちゃんも……どうして?」
つかさ「…………ふたりともどうして?…………どうして私のことをつけてたの!?」
つかさ「…………ねぇどうして!??」
444 名前:
みゆき「…やはり尾行していたこと……気づかれていましたか」
みゆき「実は私達…」
かがみ「……いいわみゆき…………私に話させて」
かがみ「つかさ、警察に通報したの私たちなの……あんたを付けてたら……たまたま違法パーティーの場面に出くわしたから」
かがみ「みゆきと相談した上で……さっきあそこの公衆電話から電話したの……匿名でね」
つかさ「…………えっ!?」
かがみ「それとねつかさ、怒らないで聞いて欲しいの……」
かがみ「あのね、お姉ちゃん…………つかさが今日出て行った後にね」
かがみ「………………………………つかさの部屋の中見ちゃったんだ」
つかさ「………………まさか」
つかさ「…………………………………………うそだよねぇ?」ガタガタ
460 名前:
かがみ「うそじゃないよ…………そこでね、押入れの中に大きな鞄が入ってて……」
かがみ「私気になって……鞄の中を…………」
つかさ「……………………………………」
かがみ「悩みがあるなら何でも相談して欲しいの……お願い、何か辛いことがあったから手を出したんでしょ?」
かがみ「つかさ、お父さんやお母さんには黙ってるから教えて? どうしてあんな物に手を出しちゃったの?」
みゆき「(駄目ですかがみさん…これ以上つかささんを刺激しては……)」
かがみ「誰から教えてもらったの? 学校の帰りにいつも会いに行ってた友達?」
つかさ「……………………………………」
かがみ「私達……何でも協力するから…………独りで抱え込まないで…………お願い」
つかさ「…………………の……せいだよ」ボソ
かがみ「…えっ」
つかさ「お姉ちゃんのせいだっていってるんだよ!!!!!!!!!!!」
468 名前:
かがみ「……つかさ…?」
つかさ「…………へへ…………えへへへ…………」
つかさ「…………終わりだね…………もう、終わりだよお姉ちゃん」
つかさ「………………………そうだよぉ、お姉ちゃんの言うとおりだよぉ」
つかさ「…………私がいま夢中になってるのはシャブだよぉ?…………覚せい剤だよぉ?」
490 名前:
つかさ「えへへ……いい気なもんだよねぇ?……こんなときでもお姉ちゃんはお姉ちゃん顔するんだもん」
つかさ「同じ日に同じ親から産まれてきたのに……数分先に産まれてきたってだけでお姉ちゃんだもんねぇ?」
つかさ「私がどんな気分で今まで生きてきたか分かる?……私に対する周りの評価はいつどんなときでもお姉ちゃんとの比較」
つかさ「周りから…お姉ちゃんと…比較されればされるほど…私は自身を…失い…惨めになって…」ブツブツ
みゆき「つかささん……落ち着いてください、今つかささんは薬物離脱期のために一時的に情緒不安定になっているだけで…」
つかさ「ゆきちゃんはだまっててよ!」
みゆき「……っ」
つかさ「………………………そうだぁ…………いいこと思いついちゃったぁ」
つかさ「ぢつはさっき友達からコカインもらっちゃったんだぁ……せっかくだから…キメるところ見せてあげるよぉ」
かがみ「やめて!!」
みゆき「つかささん!駄目ですっ!!!」
私はお姉ちゃんとゆきちゃんの呼び止めに耳を傾けず……二人の見守る中……パケの中身を鼻からスッと吸い込みました。
504 名前:
つかさ「イエーーーーーーーイ!!!!どうしたの二人とも浮かない顔しちゃってぇ!!!!こんなに星は輝いてるのにっ!!!!」
つかさ「さァ!!!一緒に走ろう!!!!満天の星達を背に!!!!この地球(ホシ)で生を受けたことを感謝しようよっ!!!!」
つかさ「こんな路地裏でいつまでもウジウジしてちゃダメだよ!!!!カビが生えちゃうぞっ!!!!!なーんてねっ!!!!!!」
つかさ「アハハハハハハ!!!!なーんてねっ!!!アハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!バルスァミコォス!!!!!!!」
かがみ「……ウッ……ウゥッ……グスッ……えぐっ……」
みゆき「……つかささん」
532 名前:
つかさ「えへへへ~! お姉ちゃん、ゆきちゃん、さっきは怒鳴っちゃってゴメンねぇ~?」
つかさ「私もう怒ってないからぁ、ちっとも怒ってないからぁ~」
つかさ「私、お姉ちゃんを許してあげることにしたんだぁ」
つかさ「だからお姉ちゃんも私のこと許してねぇ? こんなダメで出来の悪い妹だけど、許してねぇ~?」
かがみ「…………えぐっ………えぐっ…………ヒック………………」
みゆき「…………」
つかさ「私はもうお姉ちゃんがいなくても大丈夫だよぉ!お姉ちゃんよりも頼もしい相棒がいるからぁ!」
つかさ「私、この子(シャブ)と一緒に生きていくって決めたんだぁ! 一生一緒にぃ~! だから心配しないでねぇ~」
みゆき「つかささん、ドラッグに負けてはいけません……呑まれてはいけません」
みゆき「ドラッグは……この上なく魅惑的です……でも決して……つかささんを救ってくれる救世主などではありません」
みゆき「ドラッグは人間の作った何よりも何よりも怖ろしい悪魔の……」
548 名前:
つかさ「えへへ~、つかさもう脳みそブッ壊れちゃってるから難しい話はわかんないよぉ~」
つかさ「私こっちの世界に友達いっぱいできたんだぁ みんな良い人ばかりだよぉ 学校なんかよりずっと楽しいんだからぁ~」
つかさ「だからね、私もう二度とみんなのところに帰ってこないからぁ~、ゆきちゃん、寂しがりやのお姉ちゃんをよろしくね~」
みゆき「つかささん、待って下さい!」
つかさ「サンキューバイバイ今までありがとう! さようならぁ~」
みゆき「……つかささん」
かがみ「………えっぐ………ひっく………………うぅっ……うわああああああああああああああああああああああああああああ」
565 名前:
つかさ「えへへ~、つかさもう脳みそブッ壊れちゃってるから難しい話はわかんないよぉ~」
つかさ「私こっちの世界に友達いっぱいできたんだぁ みんな良い人ばかりだよぉ 学校なんかよりずっと楽しいんだからぁ~」
つかさ「だからね、私もう二度とみんなのところに帰ってこないからぁ~、ゆきちゃん、寂しがりやのお姉ちゃんをよろしくね~」
みゆき「つかささん、待って下さい!」
つかさ「サンキューバイバイ今までありがとう! さようならぁ~」
みゆき「……つかささん」
かがみ「………えっぐ………ひっく………………うぅっ……うわああああああああああああああああああああああああああああ」
579 名前:
つかさ「ちょっとパラノってきたかなぁ~?」
つかさ「↑のはミスだから気にしないでねぇ~?えへへへへ」
586 名前:
さようなら、ゆきちゃん、こなちゃん、おねえちゃん
私は泣き崩れる二人の視線を背にけたたましく笑いながら、夜の雑踏に姿を消しました。
途中…私の心の中で善悪が葛藤しましたが……もう一度コークを鼻からスッ吸引すればたちどころにそんな気分は吹っ飛びました。
きっともう、二度とみんなとは会えないんだね。
……さて、これからどうしましょう。私は一夜にして寝床もお金も家族も失いました。そして大切な友達も。
おなかは空いてないからご飯はまだいいや……取り合えず……寝床を探さなきゃ……。
ぱっと財布を見ると中身は100円……。
えへへ、困ったなぁ……カプセルホテルにも泊まれないや……。
あぁ~そうだぁ、困ったときのだいちゃんだぁ、だいちゃんに電話して見よぉ~っと!
ピッピピパピパ
つかさ「もしもし~!だいちゃ~ん? おねがーい、助けて欲しいのぉ~!」
600 名前:
つかさ「だいちゃん、お風呂ありがと~、気持ちよかったよぉ」
小野「いえいえ、どういたしまして」
私はだいちゃんに車で迎えに来てもらい、その後だいちゃんのアパートまで連れてきてもらいました。
オシャレなだいちゃんにしては意外なくらいシンプルな部屋で、まるで2、3日前に引っ越してきたばかりのような印象を受けました。
シャワーを浴びてる最中、だいちゃんとあきちゃんの関係が気になりましたが……あえて考えないことにしました。
この世界の人たちは人から深く詮索されることを嫌うと思ったからです、内部事情には顔を突っ込まない……それがこの世界の暗黙のルールだと思ったから。
小野「いやぁ、それにしても僕がまだ六本木近辺をうろうろしててよかったよ、おかげでつかさちゃんをすぐに迎えに行けたからね」
つかさ「おかげで助かったよ~、あの後おまわりさんがいっぱい来たから……だいちゃん捕まってないか心配してたんだよぉ~」
小野「ありがとう、つかさちゃんは優しいね」
つかさ「えへへ~」
612 名前:
小野「ところでつかさちゃん、さっきの話だけどね」
小野「僕、個人的には……つかさちゃんを家に置いてあげてもいいかなって思うんだけど……」
小野「やっぱり金銭的な問題があってね……実は今の仕事……僕一人が食べていくので精一杯なんだ」
つかさ「……そっか、そうだよね」
小野「ごめんね……力になれなくて」
つかさ「いいよ、気にしないでだいちゃん」
つかさ「大丈夫だよ、私、もう大人だし!……アルバイトとかすれば一人でも生きていけるよ!」
小野「…………」
小野「……そうだ! そういえば知り合いにひとり当てがあるよ!」
つかさ「えっ」
小野「ちょっと待ってて、今連絡とって見るから!」
627 名前:
だいちゃんは真剣な顔で電話の相手と話しをしていました。
途中、私の見た目の印象だとか、年齢とかの説明をしていましたが、だいちゃんに任せて何も考えないことにしました。
きっとだいちゃんなら全部うまくやってくれる、今までもずっと助けてくれたし、そう信じてだいちゃんに任せることにしました。
小野「つかさちゃん!オッケーだって!」
小野「知り合いがつかさちゃんの事を預かってあげても良いって言ってくれたよ!」
つかさ「ほんとう!?」
つかさ「ありがとうだいちゃん!!」
小野「ただね、一つだけ条件があるらしいんだ」
638 名前:
つかさ「条件?」
小野「その知り合いも僕と同じで自営業やってるんだけど……ここのところ経営難らしくてね、人ひとり養う余裕も無いらしいんだ」
小野「それでね、寝床と食事を用意する代わりに従業員としてアルバイトをして欲しいんだって」
つかさ「それくらい全然へいきだよっ!」
つかさ「食事も寝床も与えてもらえるんでしょ?そこまでしてもらって何もしなきゃバチがあたっちゃうよ!」
小野「過酷なバイトらしいよ、平気?」
つかさ「うん!へいきだよ、私頑張るよ~!」
小野「そうか、それを聞けて安心したよ^^」
654 名前:
つかさ「えへへ~、だいちゃんはいつも私の事を助けてくれるね」
つかさ「そのお友達にも迷惑にならないように頑張らなきゃ、私ドジだから」
小野「えらいね、その意気だよ」
小野「店長さん、見た目はちょっと強面だけど、ホントはとっても優しいお兄さんだから心配しないでね」
つかさ「うん!」
小野「あ、そうそう、それからね……これはここだけの話だけど」
小野「彼も随分シャブに嵌ってるみたいでさ……お仕事頑張った子にはこっそりシャブをプレゼントしてあげてるそうだよ」
つかさ「えっ!ホント!!?」
小野「だからつかさちゃんも頑張ってね」
つかさ「うん!私頑張る!頑張るよ!」
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